孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 香苗さんに続いて、「そうよ」という張りのある声が聞こえてきた。声の主は父の隣にいる母で、ツンとした表情で腕を組む。

「私もひとりの女として言わせてもらいますけど、ぶっちゃけ階級なんてくそくらえよ。頭おかしいんじゃないの?って何度思ったことか」

 上流階級の人間らしからぬ暴言に、皆がギョッとした。ずっと静観していた歩が、口の端を引きつらせて茶々を入れる。

「僕たちにあんなに『規則は守れ』って言ってきたのに?」
「仕方ないでしょう、女主人なんだから!」
「えぇー」

 開き直って逆ギレする母と引き気味になる歩に、俺はつい噴き出してしまった。

 違和感を覚えていたのは皆同じだったんだな。それならもっと早く行動に移せばよかったとも思うが、俺が誰かのためにここまでやれたのは深春と出会ったからこそだ。

 そして、家族からちゃんと愛情を受けていたことに気づかせてくれたのも。

「子供と同じく偉大なのは母親だ。ひとりの人間を体内で育てるのはもちろん、血の繋がっていない俺にも分け隔てなく接してくれた母さんは、本当にすごいと思うよ。ありがとう」