藤堂家と矢神家も自分たちにはなんの影響も出ないことなので、賛同を得るのは簡単だった。
神妙な顔で名前が連なった書類をめくる父に、思いを伝える。
「俺たちは、階級に縛られずに生きていくことを望んでいる。上流になるほど得られる過剰に裕福な生活もいらない。愛する家族と、それを守る力さえあればいい」
仕事での地位は、階級の証などなくても自分の実力で手に入れられる。それで家族を養えれば十分だ。
上流の嗜みなどしなくても自分の好きな趣味を自由に楽しめばいいし、妻が外で働いたっていいだろう。
この考えに賛同するように、深春が凛とした笑みを浮かべて頷いた。
「あと必要なのは、あなたの承認だけです」
父はゆっくり目線を上げ、真剣な面持ちで確認する。
「財産の相続も、望んだようにはいかなくなるがいいのか?」
「構いません」
「業務にも影響が出るかもしれないぞ」
「この証がないだけで信用をなくすような、ずさんな仕事はしていませんよ」
儀式的に今日もつけていた、ルビーが輝くネクタイのピンをためらいなく外した。
俺をじっと見ていた父は、伏し目がちになってひとつ息を吐き出す。
神妙な顔で名前が連なった書類をめくる父に、思いを伝える。
「俺たちは、階級に縛られずに生きていくことを望んでいる。上流になるほど得られる過剰に裕福な生活もいらない。愛する家族と、それを守る力さえあればいい」
仕事での地位は、階級の証などなくても自分の実力で手に入れられる。それで家族を養えれば十分だ。
上流の嗜みなどしなくても自分の好きな趣味を自由に楽しめばいいし、妻が外で働いたっていいだろう。
この考えに賛同するように、深春が凛とした笑みを浮かべて頷いた。
「あと必要なのは、あなたの承認だけです」
父はゆっくり目線を上げ、真剣な面持ちで確認する。
「財産の相続も、望んだようにはいかなくなるがいいのか?」
「構いません」
「業務にも影響が出るかもしれないぞ」
「この証がないだけで信用をなくすような、ずさんな仕事はしていませんよ」
儀式的に今日もつけていた、ルビーが輝くネクタイのピンをためらいなく外した。
俺をじっと見ていた父は、伏し目がちになってひとつ息を吐き出す。



