孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

「今日はまるで別人でしたね、鮫島さん。何事もなくてよかった」
「見てたのか?」
「親族の控室を出たらちょうど三人が見えたので、皆で様子を伺っていました」

 皆でって、父も見ていたってことか? これは後でうるさくなりそうだな……となんとなく嫌な予感がするも、歩も話に加わってくる。

「叔父さん、なんか思ったよりいい人そうだったな。ていうか、深春ちゃんが綺麗すぎてそれどころじゃない」

 目を輝かせて深春をまじまじと見るので、俺は腕を組んで歩を睨みつける。

「卑しい目で見るな」
「そんな目してないから!」

 言い合う俺たちのそばでは、深春と香苗さんが話していた。ドレスアップした彼女も普段とはまた雰囲気が違い、瑛司が内心メロメロになっていると想像がつく。

「白い花束、素敵ね! この時期と結婚式にぴったり」
「これ、なにか意味があるらしいんですけどわかりますか? 私、花言葉とかあまり知らなくて」

 深春に聞かれた香苗さんは、「うーん」と唸って花をじっくり観察する。そういえば以前、瑛司が『香苗は花に詳しいんだ』と話していたな。

「白薔薇の花言葉は〝純潔〟とかだったと思うけど、これはたぶん本数のほうにも意味がありそうね」
「本数?」

 キョトンとする深春に、香苗さんは意味ありげに微笑む。