孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 これを無視してもっと厄介なことになったら困る。かなり怪訝に思いつつも、ちょうど外に出ていて時間があることと、早く解決させたい気持ちが大きいので今から会う約束を取りつけた。

 近くにあるカフェを伝えると、会社からすぐに向かうと言っていた。叔父の会社はここから車で十五分くらいなので、先に入ってレモネードをお供に到着を待つ。

 午後三時を回る少し前に、恰幅のいいスーツ姿の彼が現われた。私を見つけると、薄く笑みを浮かべてこちらにやってくる。

「ちょっと見ない間に、一端の主婦って感じになったな。あの御曹司に餌付けされていれば当然か」

 この人は嫌味を言いに来たのか?と、こめかみにピシッと怒りマークが入りそうになるも、動じずに当たり障りのない言葉を返す。

「叔母様と星羅も元気?」
「ああ。新居でのびのび暮らしているよ」

 それはなによりだと頷くも、〝深春がいなくなったおかげでな〟という空耳が聞こえてきそう。自尊心を傷つけられていたあの頃に一瞬で戻ったような感覚になるので、早く本題に入りたい。

「それで、用件って?」

 叔父のコーヒーが運ばれてきたタイミングで促した。彼はひと口それを含んでから、冷静な表情で話し出す。