孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 美味しそうなスイーツが並ぶ店内をガラス越しに覗いた時、バッグの中でスマホが鳴っているのに気づいた。取り出してディスプレイを見た瞬間、目を見張る。

「え……叔父様?」

 表示されていたのは、数カ月ぶりに見る叔父の名前。噂をすれば、というやつだ。

 もう連絡を取ることはないと思っていたのに、一体なんの用? 縁を切れと言われたけれど、電話に出るくらいならいいだろうか。

 ざわめきだす胸を抑え、一度呼吸を整えてからとりあえず出てみる。

「もしもし……?」
『深春、久しぶりだな』

 聞こえてきた声は、以前と変わらず元気そうだ。懐かしさと気まずさが交じり合い、複雑な気分になる。

『お前に話があるんだが、いつが空いてる?』

 雑談は必要ないと言わんばかりに、さっそく投げかけられたのは意外な内容で、私は眉をひそめた。

「話って……電話じゃダメなの?」
『大事な用件なんだ。できれば会って話したい』

 いつになく真剣な調子で言われ、しばし思案する。本当にどうしたんだろう。一緒に暮らしていた時でさえ、私に大事な話なんてしなかったのに。