『実は、僕たちには奏飛兄ちゃんも知らない運命的な繋がりがあるんですー。ね、深春ちゃん』
『えっ!? いやぁ……』

 両肩に手を置いて話を振られたのでギョッとした。

 運命的な繋がりというのは、たぶんレストランで私が歩くんが弾くピアノを聞いていたことだろう。

 なにもやましいことはないのに、そんな意味深に言われたら奏飛さんも沢木さんも気分を害してしまうのでは……? すでに奏飛さんは表情が険しくなっているし!

 なんと答えるべきか困って口をもごもごさせていたのもつかの間、奏飛さんは怒りを堪えた様子で彼の手を引き剥がす。

『どうせ大袈裟に言っているだけだろう。寝言は寝ても言うな』
『初めて聞くことわざだわ』

 ツッコむ歩くんに構わず、奏飛さんはこれ見よがしに私の肩を抱いて言い切る。

『お前と深春にどんな繋がりがあろうと関係ない。今、彼女が愛しているのは俺だからな』

 自信満々な彼が意外だったのか、歩と沢木さんはぽかんとし、私は頬を赤く染めて縮こまった。その通りなのだけど、口に出されると恥ずかしい。

 奏飛さんは以前嫉妬して余裕をなくしたことを反省し、大人な対応を心がけるようにしたらしい。でも内心ヤキモチを妬いているんだろうなと思うと、可愛くてくすぐったくなる。