いつもまっすぐで、どんな悪態をつかれてもへこたれず、妻として精一杯尽くそうとしてくれる。誰かを愛した経験がなくても、その姿は自然に愛しいと感じられた。

 彼女が笑っているだけで胸は温かくなり、他の男と親しくするだけで醜い感情が湧いてくる。

 こんなに誰かに心を揺さぶられるのも、誰かのことで頭がいっぱいになるのも初めてで、自分がどんどんみっともない男になっていく気がする。

 だが、これが恋というものなのだろう。そして、自分なんかより彼女を大切にしたいと強く思うのは、もう同情ではなく完全な愛なのだ。

 幼い頃は、求めた分の愛が返ってこないことが不満だった。でも今は、深春が幸せだったらそれでいいとすら思う。

 ──そう、もう昔の自分とは違うんだ。