眉根を寄せる彼からは切実さが窺える。そんなに私を気にかけてくれていたなんて、胸に熱いものが込み上げる。

「なのに昨日は、君と歩が親しくしているだけで無性に腹が立ってあんなことを……。体調が優れないと気づけなかった上に、怖がらせて悪かった」

 申し訳なさそうにする彼に、私はぶんぶんと首を横に振る。

「こう言ったらおかしいかもしれないけど、私は嬉しかったですよ。嫉妬してくれたってことでしょう?」

 いたずらっぽく口角を上げてみせると、彼は「自分でも驚いてる」と言って気恥ずかしそうに目を逸らした。バツが悪くなった子供みたいで可愛い。

 瑛司さんも、翼さんも、奏飛さんは誰にも興味を持たないと言っていたけれど、決してそうではないと思う。人を愛するのが怖かっただけなんじゃないだろうか。

 だったら、彼が不安にならないくらい、私が目いっぱい愛せばいい。

「奏飛さんは欠落した人なんかじゃないです。私には最初からずっと優しくて、大切にしてくれてる。それに私がどれだけ救われているか」

 好きだけでは足りないこの想いを、どう伝えたらいいのだろう。

 もどかしさを抱きつつ、手を伸ばして彼の頬に触れる。