孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

「奏飛さん……」
「すごいタイミングね。ちょうど今目を覚ましたところよ」

 お義母様もやや驚いた様子で言った。金沢にいるはずの旦那様は、とても心配そうにこちらに駆け寄ってきて私の頭を撫でる。

「大丈夫なのか? 怪我は?」
「幸い捻挫と打撲だけで済んだわよ。落ちたのが階段の下のほうだったのと、打ち所がよかったみたい。ただ、貧血気味だから休んだほうがいいって」
「そうか……」

 症状を聞いて安堵のため息を吐き出す奏飛さんと共に、私も胸を撫で下ろした。酷い怪我だったら、これからの妊婦生活に支障が出ていたかもしれない。

 と、そこではっとした私は、痛みに構わず咄嗟に上体を起こそうとしながらお義母様に問いかける。

「赤ちゃん……赤ちゃんはどうなったんですか!?」
「大丈夫、今のところ問題はないって」

 安心させるような優しい表情で言われ、心底ほっとして「よかった」と言い身体の力を抜いた。

 しかし、奏飛さんは意味がわからないといった顔をしている。

「赤ちゃん?」

 あ。そういえばまだ伝えていないんだった。こんな発表の仕方になるとは想定外だけれど、喜んでくれるかな。