怯えたように表情を歪ませる彼女を見て気づいた。香苗さんが一番恐れているのは、瑛司さんのそばにいられなくなることなんじゃないだろうか。
ふたりの夫婦仲が実際どうなのかはわからないが、私がこれまで見た限りでは瑛司さんも香苗さんを大切にしていると感じる。
あの冷血っぽい彼が香苗さんにだけ優しい笑みを向け、ふたり並んで歩く時はいつもさりげなく肩を抱くのだ。普段から想い合っていなければ、あんなに自然にできるものではないと思うから。
「捨てられなんてしません。瑛司さんだって香苗さんを愛しているじゃありませんか」
「愛があろうとなかろうと、階級には関係ないのよ! 跡継ぎを残せないなんて周りが許してくれないし、妻でいる資格もないわ」
今にも泣き崩れてしまいそうな彼女は、胸元につけたルビーのブローチをはずし始める。
「こんなもの、なければいいのに……」
震える声がこぼれると共に、彼女の指先からブローチが足元に落ちていった。故意に落としたわけではなさそうだが、拾おうともしない。
階級は必要なのか、私もずっと疑問に思っているし、香苗さんが自分を責めてしまう気持ちも痛いほどわかる。どんな言葉をかけるのが最良なのかはわからないけれど、資格がないだなんて思わないでほしい。
ふたりの夫婦仲が実際どうなのかはわからないが、私がこれまで見た限りでは瑛司さんも香苗さんを大切にしていると感じる。
あの冷血っぽい彼が香苗さんにだけ優しい笑みを向け、ふたり並んで歩く時はいつもさりげなく肩を抱くのだ。普段から想い合っていなければ、あんなに自然にできるものではないと思うから。
「捨てられなんてしません。瑛司さんだって香苗さんを愛しているじゃありませんか」
「愛があろうとなかろうと、階級には関係ないのよ! 跡継ぎを残せないなんて周りが許してくれないし、妻でいる資格もないわ」
今にも泣き崩れてしまいそうな彼女は、胸元につけたルビーのブローチをはずし始める。
「こんなもの、なければいいのに……」
震える声がこぼれると共に、彼女の指先からブローチが足元に落ちていった。故意に落としたわけではなさそうだが、拾おうともしない。
階級は必要なのか、私もずっと疑問に思っているし、香苗さんが自分を責めてしまう気持ちも痛いほどわかる。どんな言葉をかけるのが最良なのかはわからないけれど、資格がないだなんて思わないでほしい。



