翌日、いつも通りの家事を終えた沢木さんを呼び止め、私は昨夜のことを相談していた。

 あれからベッドに入って奏飛さんを待っていようとしたのだが、身体の怠さに加えて強烈な睡魔に襲われ、彼が寝室にやってくる前に眠りに落ちてしまった。

 朝は早くから出ていく彼を見送ったけれど、時間がなくて昨日の一件については特に話していない。お互いにぎくしゃくしたままで、気まずさをなくすことはできなかった。

 歩くんの話をすると奏飛さんが不機嫌になるという旨をざっくり説明すると、沢木さんは驚きつつもやや呆れを交じらせた調子で言う。

「深春様、それを嫉妬というのだと思いますよ」
「だよね?」

 第三者の沢木さんもそう言うなら、やっぱり私の勘違いではなさそうだ。つまり、彼も私を好きに……。

 両想いかもしれないと思うと、喜びで全身が火照りだす。私が悶えたくなるのを必死に堪える一方、紅茶のカップを口に運ぶ沢木さんはどことなくほっとした様子だ。

「奏飛様もようやく人間らしくなられてきましたね。他の男性に誘われただけで嫉妬するなんて意外すぎますが、可愛らしいじゃありませんか」
「うん、本当に」

 ふふっと笑いをこぼすも、彼も自分自身に戸惑ってるみたいに見えたな……と思い返す。