孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 数日後、私は暑中見舞いを贈っていただいた方々へ、残暑見舞いとしてお返事をせっせと書いていた。

 黒凪不動産の社長ともなると、あらゆる方面からハガキやギフトをいただく。黒凪家ではそのお返しをするのも妻の役目だそうで、ここ数日は緊張感を持ってひたすら筆を走らせているのである。

 そのせいで疲れているのか、今日は朝から身体が怠く吐き気がしてつらかった。今はよくなったので作業をしているけれど、やりすぎるとまた調子が悪くなるかもしれないから気をつけないと。

 丁寧に一枚書き終えて筆を置き、ふう、とひと息ついた。もうすぐ結婚式の招待状も用意しなければいけないだろうし、仕事をしていなくてもやるべきことは多い。 

 息抜きに結婚式場のパンフレットをめくり、愛しい彼の姿をよぎらせる。

 奏飛さんがご機嫌斜めだったのはあの時だけで今は普通にしているが、あれはなんだったんだろう。別に歩くんとの仲も悪いわけじゃないはずなんだけど……。

 綺麗なドレス姿の女性とチャペルの写真をぼんやり眺めて考えていると、横からすっと手が伸びてきてハガキを取られた。それをじっと見つめるのは沢木さんだ。