孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

「歩くんとも仲よくなれそうで嬉しかったんです。彼も家族だから」
「歩〝くん〟ねぇ……」

 これまでと違った呼び方に反応した彼は、不機嫌さを露わにしたため息を漏らした。

「必要以上に親しくならなくていい。あいつは俺たちが昇格争いをするのを楽しんでいるんだから」

 ぴしゃりと言い放たれ、一気に寂しさに襲われる。

 歩くんだって私たちの家族なのに、仲よくするのはいけないことなんだろうか。それに、彼がそんなに薄情な人だとも思えず「そう、ですかね……」と曖昧に返した。

 奏飛さんは歩くんの話をするのを避けるように、それ以上はなにも言わない。彼の心情はいまいち読めず、気まずい空気に包まれたまま自宅へと戻った。