孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 しばし遊んで満足すると、彼がふいにこちらを向いて言う。

「ねえ、そろそろ〝さん付け〟と敬語はやめない? 歳もたいして違わないんだし」
「や、でも……」
「気遣わなくていいよ。階級は僕のほうが下だしね。って、階級なんて気にしてないけど」

 あっけらかんとした彼と話していると、そんなに硬くならなくてもいいのかなという気がしてくる。

 私ももっと仲よくなれたら嬉しいし、ご両親の前やきちんとした場以外ではフランクに接してもいいだろうか。

 ちょっとだけ思案して、まず呼び方を変えてみようと口を開く。

「じゃあ……歩、くん」
「はーい」

 遠慮がちに呼ぶと、子供みたいに可愛く返事をするので笑ってしまった。こういうところに母性本能をくすぐられる女性はたくさんいるんだろうな。

 魅力を再確認していると、彼は意気揚々とある提案をする。

「ピアノが好きなら、今度クラシック聴きに行こうよ。上流階級の嗜みのひとつだから、いずれ母さんに連れていかれるだろうし」
「ああ、いいかも」

 確かに、クラシック鑑賞はいい機会になるだろうし興味はあるので前向きに答えた。

 でも、今のお誘いって歩くんとふたりで?と、小さな疑問が湧いたその時。