孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 とはいえ、奏飛さんが助けてくれなかったらこんなに穏便には済まなかったかもしれない。

「でも、あの場を納められたのは奏飛さんがいたおかげなので」
「だいぶ怒ってたよね、奏飛兄ちゃん。パーティーの場でいきなりショパンの〝革命〟を弾くって、結構異様だったよ」

 おかしそうに笑う歩さんは、しっかり曲名がわかっているようでさすがだ。確かに、あの時の奏飛さんの雰囲気はただならぬものがあった。

「革命っていうんですね、あの曲」
「正確には〝革命のエチュード〟だ。練習曲だから昔よく弾いたんだよ」
「あれが練習曲!?」

 さらっと言う奏飛さんを、私は信じられない!という目で見つめる。絶対難易度が高いのに、易々と弾いてしまう彼がカッコよすぎる。

 私のために怒ってくれたのも嬉しかったな、と改めて感じていると、お義父様がにこやかに言う。

「聞いてみたかったなぁ、深春さんのピアノも。〝ねこふんじゃった〟くらいは弾けるでしょう」
「ご冗談を……」

 ブラックジョークにしか思えなくて苦笑いするも、皆は楽しそうに笑っていた。