孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 なんとなくだけれどわかった気がする。藤堂さんは、ご主人の会社に再開発の指揮を取ってもらいたかったのか。そして必死な様子を見るからに、その事業はかなり大きな案件なのだろう。

「藤堂があの競争に負けるはずがないわ! 私たちのほうが相応しいんだから」
「いいえ、あなたは勘違いしていらっしゃる」

 彼女の意見に、奏飛さんは間髪を容れずにぴしゃりと言い放つ。

「ご主人は以前から、この再開発計画は権利者と自分たちとの構想にズレがあると感じていたようです。私たちのほうが適任だと、納得して任せてくださったのですよ」
「そ、そんな……」

 真相を聞いた藤堂さんは、ひどく落胆した様子でよろけそうになっている。奏飛さんはそんな彼女にも容赦なく、静かに怒りを滾らせて一歩ずつ近づく。

「知識がないにもかかわらず我々のビジネスに首を突っ込み、ご自分の意見を通そうとするのは愚かだ。ピアノの件に関しても同じこと。人の気持ちも考えず屈辱を与えようとするなど、上流階級の名に恥じるのはあなたのほうだ」

 怯えたように身を縮める彼女に、軽蔑するような視線とトドメのひと言を刺す。

「妻を傷つけたら、私があなたに降任のほうがマシだと思うような罰を与える。それをお忘れなく」