ずっと不思議だった。どうして会ったばかりの私を気にかけて、ここまで大切にしてくれるのか。
でも、彼の生い立ちを聞けば納得できる。私はただ、同情されていただけだったのだと。
理由がわかって、心が重く沈んでいく。
「あの奥様方のような輩を見返そうと、兄さんは父の座を自分のものにしようとしているんでしょう。そのために、あなたは利用されているだけなんです」
いつの間にか視線を落としていた私に、瑛司さんの容赦ない声が突き刺さる。
「兄さんは、私たち兄弟にも心を許しているとは思えません。きっとあなたのことも愛さない。それでも、彼の妻でい続けられますか?」
再び覚悟を試されているような問いかけに、私はすぐに答えられなかった。『あなたのことも愛さない』というひと言が、想像以上に胸を抉る。
答えを出せないうちに、瑛司さんはおもむろに会場へと足を踏み出し、私も少し経ってからようやくお手洗いに向かって歩き出した。頭の中では、瑛司さんや歩さんの言葉がぐるぐると回っている。
思えば、奏飛さんは私にも心を開いているわけではないだろう。大切にされているのは伝わってくるけれど、彼は暗い地中に隠れた根っこのような部分を見せてくれていない。
でも、彼の生い立ちを聞けば納得できる。私はただ、同情されていただけだったのだと。
理由がわかって、心が重く沈んでいく。
「あの奥様方のような輩を見返そうと、兄さんは父の座を自分のものにしようとしているんでしょう。そのために、あなたは利用されているだけなんです」
いつの間にか視線を落としていた私に、瑛司さんの容赦ない声が突き刺さる。
「兄さんは、私たち兄弟にも心を許しているとは思えません。きっとあなたのことも愛さない。それでも、彼の妻でい続けられますか?」
再び覚悟を試されているような問いかけに、私はすぐに答えられなかった。『あなたのことも愛さない』というひと言が、想像以上に胸を抉る。
答えを出せないうちに、瑛司さんはおもむろに会場へと足を踏み出し、私も少し経ってからようやくお手洗いに向かって歩き出した。頭の中では、瑛司さんや歩さんの言葉がぐるぐると回っている。
思えば、奏飛さんは私にも心を開いているわけではないだろう。大切にされているのは伝わってくるけれど、彼は暗い地中に隠れた根っこのような部分を見せてくれていない。



