孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 旧財閥家の方々は、やはり階級に応じた色のネクタイピンやブローチをつけているのでわかりやすい。

 最初に対面したのは、お義父様の弟である叔父様。アッパーの証であるダイヤモンドのネクタイピンが存在感を放っている。

 顔だけでなく和やかな雰囲気がよく似ているが、なにせお義父様が笑顔で辛辣な物言いをする人なので、私は内心警戒している。

「おお、奏飛くん! 久しぶりだね」
「ご無沙汰しております。お電話でお伝えさせていただきましたが、先日きちんと籍を入れました。妻の深春です」

 奏飛さんの言葉に続いて、私は落ち着いた笑みを浮かべて綺麗に一礼する。おどおどせず、凛然と。

「はじめまして。深春と申します」
「ご丁寧にどうも。素敵な奥さんを見つけたじゃないか。おめでとう」

 奏飛さんと一緒に「ありがとうございます」とお礼を言い、いつ飛んでくるかわからない嫌味をやり過ごせるよう、笑顔を絶やさないでおく。

 しかし、無条件に祝福してくれる叔父様は、それからも毒を吐いたりはせず終始穏やかだった。本当に兄弟?と疑ってしまうほど。

 とても愛想のいい彼のおかげで身体から余計な力が抜け、その後の挨拶も順調にいった。政治家や弁護士などハイスペックな職に就いている人も多く、圧倒されてばかりだったが。