だんまりカメラマンとニセアイドルの一冊の写真集


「俺、辞めようと思ってる。この仕事」

青空の下、缶コーヒーを手にしんみり話すニセ。

僕はびっくりしていた。

ニセはわがままをよく言うが、弱音は吐かなかったから。

僕はだまっていた。

どう言えばいいのか分からなかった。

「人気があった時は誰もがちやほやしてくれた
 けど…人気なくなったら、俺の生きる価値がないみたいに接しられて
 押しつぶされそうだった」

ニセは暗くなっていた。

僕は思わず写真を撮った。

「だんまり~撮りすぎだ。死ね」

ニセは迷惑そうに言った。