時田は寒いとか風が強いとか、文句を言いながら隣に座った。 ……文句言うなら帰ればいいのに。 「なあ、話してもいい?」 昨日、時田が起こした珍行動。 時田の顔をチラリと見て空を見る。 「卒業制作で映画作るんだ。撮影期間は2ヵ月。冬休みもあるんだ。撮影が終わったら急いで編集して、それで、全校生徒に公開するんだ。」 時田の視線は俺に向く。 ガッチリ捕まえて放さないその目が怖い。 「…千村謙に出てほしい。」