甘い思い

という夢を見たんだと、今朝の自分に言い聞かせたかった。だが、昨日買ったケーキのレシートが財布から出てきて断念した。

結婚。
まぁ、フシアの家は大きな家だし何かしろの偉い人が関係しているんだろうとも思っていた。でも、結婚はいきなり過ぎるし何よりショックだった。

小さい頃からずっと一緒で、てっきりこれからもこの友達のような関係が続いて行くのだと思っていた。
恋人なんて、贅沢な地位につかなくても良い。せめて、一番近い友達で幼馴染としてずっと笑い合っていけたらと願っていた。

「はぁ‥。」

今日のお昼定食を食べる箸が止まる。いや、止まり続けている。
行儀悪く大好物の唐揚げを箸でつつきながら考えるも何も進展しない。

「いっそ、恋人とか作っちゃう‥とか？」

なーんて、と頭の中で一人ツッコミをしている内に次の授業が始まる鐘が鳴り響く。
流石に焦りながら、大好物を口に突っ込んで食器を下げて教室まで走った。