「あるだろ? 大切にそっと隠してるやつ。それを貰いたいな」
先生の声音は、あくまでも優しく、愉快そうだった。
けれど、理玖の顔は笑っていなくて。
先生の言葉を計りかねているかのような訝しげな表情を浮かべていた。
その視線が、輪を見渡すようにさまよい、そしてその外にいるあたしに気づき、止まった。
目が見開かれて、理玖が思い当たったのだと、分かった。
あたしは、泣きそうな顔になっていたのかもしれない。
でも、今どう反応していいのか分からなくて、ただ首を横に振った。
理玖、違う。
勘違いしないで。先生が勝手に言ってるだけ。
あたしじゃない。先生のただの冗談だよ。
「やだー、先生ってば。理玖にそういう趣味はないよ。あたし、そんなぬいぐるみ見たことないもん」
玲奈さんがくすくすと笑って言った。
「ね、理玖?」
腕を引いて理玖の顔を見上げる。
我に返った理玖が慌てたように相づちを打った。
「ん!? あ、ああ」
「そうかなあ? 実は久世が知らないだけかもだよ。大切なものはこっそり隠してるものだからさ。
今度探してみたほうがいいな」
先生の声音は、あくまでも優しく、愉快そうだった。
けれど、理玖の顔は笑っていなくて。
先生の言葉を計りかねているかのような訝しげな表情を浮かべていた。
その視線が、輪を見渡すようにさまよい、そしてその外にいるあたしに気づき、止まった。
目が見開かれて、理玖が思い当たったのだと、分かった。
あたしは、泣きそうな顔になっていたのかもしれない。
でも、今どう反応していいのか分からなくて、ただ首を横に振った。
理玖、違う。
勘違いしないで。先生が勝手に言ってるだけ。
あたしじゃない。先生のただの冗談だよ。
「やだー、先生ってば。理玖にそういう趣味はないよ。あたし、そんなぬいぐるみ見たことないもん」
玲奈さんがくすくすと笑って言った。
「ね、理玖?」
腕を引いて理玖の顔を見上げる。
我に返った理玖が慌てたように相づちを打った。
「ん!? あ、ああ」
「そうかなあ? 実は久世が知らないだけかもだよ。大切なものはこっそり隠してるものだからさ。
今度探してみたほうがいいな」



