月下の逢瀬

理玖が見てくれるなら、少しでも可愛くしていたい。
明日はコンタクトにして、少しは化粧してもいいかも。
途端に張り切ってしまった自分に少し照れる。


『理玖、大好き』


『ん』


すり、と頬ずりすると、腰に腕がまわされた。
ぐ、と引き寄せられて、唇を塞がれる。

胸元には幾つもの新しい痕。
理玖だけの印し。
それを思い、安心感に包まれる。


『ん……、理玖。もっかい、しよ』


しなやかな背中に腕を回した。




「真緒ー? そろそろ教室戻ろ! あたしたちの当番は午前だしさ」


「え!? あっ、うんっ」


結衣がぼんやりしてしまっていたあたしの顔を覗き込む。
慌てて取り繕った笑みを浮かべた。


「午後はコウタのクラスに行ってみよ。真緒も行こうよ!」


「うん。でも、邪魔にならない?」


「全然。邪魔になんてならないよー」


結衣の彼氏のコウタくんは、理玖と同じ
『2ーB』。
違和感なく理玖のクラスに行ける口実ができて、ほっとする。


「コウタくんのクラスは、何するんだっけ?」