月下の逢瀬

「幸せ、か……」


「うん」


笑顔は、ぎこちなくはないかな?
声は震えてないかな?


あの夜、理玖の幸せを祈った。
その気持ちは全く変わっていない。

その理玖の幸せに、あたしは不必要だ。
だから、あたしのことで後悔なんてしないで。


「理、理玖は、どうなの? 玲奈さんは、元気?」


玲奈さんとの道を選んだ理玖。。
それは理玖の意思じゃなかったかもしれないけど、玲奈さんは誰よりも理玖を愛していた。
だから、きっと玲奈さんとなら幸せになれるはず。


「ああ。来月、結婚する」


「…………っ!? そ、そう」


「なにも学生結婚なんてしなくても、って言っても全然聞かないから、あいつ」


玲奈さんは、昔と変わらずに理玖を愛している。
理玖との関係を、早く確実なものにしたいんだろうと想像がついた。


「えと……、おめでとう」


「ん」


アイスの味なんてしなかった。
だけどこれ以上何て言えばいいかわからなくて、スプーンを動かしていた。


理玖が結婚する。
婚約までしていたのだし、何よりあたしだって結婚しているというのに、何でこんなに動揺してしまうんだろう。