月下の逢瀬

ふわりと優月を抱き、優しく笑う。

その笑顔に、気付いた。
理玖は、優月が自分の娘だってこと、わかってる……?
あの時あたしがついた嘘を、見抜いてるんじゃ……。


「はい、これは真緒のぶん」


「あ、ありがと……」


あたしの横に座った理玖は、ごく普通に優月を膝にのせた。
アイスに夢中になっている優月は、スプーンを必死に口に運んでいる。


「優月、こっちに」


「いいよ。真緒はそのアイス食ってな。溶けるぞ」


「う、ん……」


カップに盛られていたのはチョコレートアイス。
子供の頃から好きだったことを、理玖はまだ覚えてたんだろうか。
そんなことがちらりと頭をよぎった。


「重いんだな」


理玖がぽつんと言葉を落とした。


「え?」


「あの時の子供が、こんなに大きくなるんだな。重たい」


優月の頭を撫でながら呟く。


「あ。優月、やっぱり抱っこしようか?」


「いや、そんな意味じゃなくてさ。

俺の放棄したものの大きさ、とか」


「…………」


「真緒の過ごした三年間の大切さ、とか。
自分のしたことの、重みがさ」