月下の逢瀬

「って、俺が悪いんだけどな。

お、アイス売ってる。
優月ちゃん、アイス食べるかー?」


「あいしゅいるっ。いちごー」


よし、と優月の頭を撫でた理玖は、言葉をなくしたあたしに、にこりと笑いかけた。


「アイス、いいよな?」


「あ、う……ん」


「向こうのベンチに座ってて。すぐ行くから」


アイスのワゴンに向かって仲良く走っていく二人。
その背中を見送って、あたしはのろのろと理玖の指差したベンチへ座った。

アイスを選んでいる二人の様子を見つめる。



理玖は、何を考えてるんだろう。

さっきの言葉はどういう意味?


何であたしを掻き乱すようなことを言うの?



さっきまでの、晃貴によって与えられた安心感が霧散する。


怖い。
理玖はこれから何を言おうとしてるの。



アイスのカップを両手で握って優月が駆けてきた。
夢中に走ってくるせいで、小さな段差に躓いた。


「優月! 危な……」


立ち上がりかけたあたしより早く、理玖が抱えあげた。


「ほら、ママのところに行こうね」


「うんっ。ありあと」