月下の逢瀬

「まるで真緒みたいだ」


「うん……。よく、言われる」


不安にも似た焦燥感。


優月と理玖を出会わせてよかったのだろうか。
お互いが、血の繋がりがあるなんて感じとることなどないだろうけれど、それでも。


「優月、ちゃん。ママのこと好き?」


「だいしゅきっ!」


頬ずりするようにくっついて、


「ゆじゅき、パパもだいしゅきなのっ!」


と嬉しそうに言った。
一瞬、理玖の笑顔が曇った。


「パパ……か。そっか。パパ大好きか」


すぐに笑顔に変わって、優月に聞いた。


「うんっ! だいしゅきーっ」


当たり前なのだ。
優月が生まれてからずっと、そばで慈しんで愛してきたのは、晃貴なのだから。

優月の父親は、晃貴。

それは優月が生まれる前から、あたしが突き通すと決めた、嘘。

ずっと守り通す秘密。


「おさんぽぉー」


優月が黙りこくるあたしの顔を覗きこんだ。


「あ、そっか。そうだね、行こうね」