月下の逢瀬

「あ、そうだ。せっかく会えたんだし、花見にまざらねー?
次はいつ会えるかわかんないしー」



後ろの集団を指差して、にひひと肩を竦めて笑う。


「馬鹿なこと言うなよ。知らない奴らの中で楽しめるはずないだろ」


「ダメかー? 面白いのに」


「当たり前だろ。ほら、酔っ払いはさっさと戻れよ」


ぶー、と膨れる日薙くんを、理玖が力任せに押しやった。


「ちぇ、つまんねーの。
ゆじゅちゃん、ばいばーい」


ひらひらと手を振って、日薙くんは賑やかしい集団へと戻って行った。


「あいつ、結構酒入ってるんだ。悪かったな」


「だ、だいじょうぶ。何だか、懐かしかった、し」


きゃー! と甲高い笑い声があがる。
女の子と日薙くんが押し合うようにしてじゃれあっていた。


「……大学、同じでさ。あいつ昔と同じでしつこいから、色々誘ってくるんだ。
今回は、断れなくて」


「そっか」


楽しげな様子を見るフリをしながら、動揺を顔に出すまいと必死だった。

どうしたらいいのだろう。

こんな風に向かいあうなんて、想像もしていなかった。