月下の逢瀬

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庭先の梅の蕾がほころんだ。
ここ数日の穏やかな暖かさのせいだろう。


バッグを持って、すっかり片付いた部屋を見渡した。

整えられたベッド。空っぽのクローゼット。
風に微かに揺れる、ブルーのカーテン。

涙もひそやかな囁きの名残も、もうない。
すべて、淡い光と共に消えてしまった。



「真緒、晃貴さんがみえたわよー」


玄関から母の声。


「はぁい。すぐに行くー!」


答えて、もう一度見渡す。

深く息を一つ吐いて、あたしは部屋を出た。