月下の逢瀬

「ありが……と……。
今だけ。今この時だけ、にするから……」


これきりにするから、終わりにした気持ちのために泣いてもいい?
自分のために泣いてもいい?

もう、これきりにするから。


「何も言わなくていいよ。黙って泣きなさい」



一生そばにいると決めた人の、優しい手の平がそっと撫でてくれる。
責めることなく、ただ隣にいてくれる。


そのことが嬉しくて。
だけど申し訳なくて。


涙の終わりが見えたころ、自分に言い聞かせるように呟いた。


「さよなら、理玖」