月下の逢瀬

病室を出て、あたしと先生は並んでナースステーションを通り過ぎた。

エレベーターに乗り、受診患者の溢れるロビーを横切って、病院を出た。

少し離れたところにある駐車場に停めてある先生の車。

それに乗り込んだ途端に、糸が切れたように涙が溢れた。


「うー……。ひ…………っ」


ぼろぼろとこぼれ落ちる涙。
強く噛んでいた唇からは、堪えても堪えても声が洩れた。



「や、やだ……な。泣くな……んて……っ」


「椎名……」