月下の逢瀬

「俺の子供だよ。宮本と別れて悲しんでる椎名のそばに、ずっといたからな」


「え、片桐せんせ……!?」


姿を見せた片桐先生に、玲奈さんが息をのんだ。


「そうなんだ。玲奈さん、納得してくれた?
だから、ごめんなさい」


立ち上がって、玲奈さんにもう一度頭を下げた。


「こんなことになって、取り返しがつかないことはわかってる。
あたしにできることならどんなことでもするよ」


「じゃ、じゃあ、ホント……なんだ。
ホントに……」


緊張の糸が切れたように、玲奈さんがぽつりと呟いた。
そして、


「……飛び降りたのは、あたしの勝手だもん。椎名ちゃんを責めるなんて、できるはずない」


と続けた。


「玲奈さん……」


顔を上げると、玲奈さんがそっと自分の涙を拭っていた。


「椎名ちゃんに憎まれても仕方ないよ。あたし、酷いこと言ったから。
これは、その罰なんだと思う。

謝らなくちゃいけないのは、あたし。
本当に、ごめんなさい」


玲奈さんは微かに首を動かして頭を下げた。


「そして、ありがとう……」