月下の逢瀬

「どうせ、あたしが子供産めないの、知ってるんでしょ?
そんな同情の嘘……」


「嘘じゃないよ。あたし、その人と結婚するから」


顔をあげて、あたしを見つめる玲奈さんを見返した。
驚いたように見開いた瞳。


「けっ……こん?」


「そう、結婚するの。
だから……あたしが理玖を奪うとか、絶対にない。信じて」


「え? だって……、理玖」


玲奈さんの視線が、あたしの後ろに向けられた。

え? と振り返ると、そこには呆然とした様子の理玖が立っていた。


「真、緒。今の話……」


「理玖……」


信じられないという風にあたしを見る理玖に、向き直った。
声が震えないように、お腹にぎゅっと力を込めて、言った。


「本当、だよ。理玖にも嘘ついてた。
まさか、ほんの仕返しのつもりで言ったことがこんなに大きな問題になるなんて思わなかったから。
怖くなって言えなかった」


理玖の顔が歪む。
その眉間に寄せた表情に、胸が潰れそうになる。


「じゃあ……誰の子だって言うんだ?」


「それは……」


「俺だよ」


ドアの方から声。
理玖が反射的に振り返った。