月下の逢瀬

「あんたの言う通りだよ。玲奈はそんな体だよ。
だからって、真緒をその代わりに抱いたことなんて、ただの一度もねぇよ!

何も知らねぇくせに、そんなふざけたこと、二度と口にするな!」


はぁっ、と息をついて、睨んだ。
真緒を誰かの変わりに抱く訳がない。
抱けないからと、玲奈を裏切った訳でもない。

全て悪いのは俺だけれど、そんなくだらない理由で片付けて欲しくない。


果して、片桐が小さく息を吐いた。


「宮本がしたことは、責められこそすれ、褒められるもんじゃない。
だけど……、高校生が背負うには、重たすぎる話だったろうな。
大変だっただろ」


「同情なんて、されたくないね」


幾分和らいだ片桐の口調に、感情に任せて口にしたことを悔やむ。
理解してもらおうなんて思ってもいないのに。

睨むように見つめていると、片桐が肩を竦めた。


「ふん。まあ、そうだろうな。

で、どうするんだ。どんな事情であれ、今はどちらの手をとるのか、早く決めなきゃいけないだろう?」