月下の逢瀬

真緒、ごめん。
そう言って走り寄ってきて、抱きしめてくれるのを、待っていた。

心のどこかで、切に。

けれどそれは、都合のいい夢だ。



涙が溢れて頬を伝う。


先生に懺悔するように、呟いていた。


「あたし、玲奈さんに、言っちゃったの……」


「……そうか」


「玲奈さんも、泣けばいいのに、……って。あたしみたいに、泣いたらいいんだ、って。

そしたら、玲奈さんがいなくなって。
理玖が怒ったの。

玲奈さんの体の事、知らなくて。あたし、酷いこと、言った。

だから、あたしが悪いの」



だから、理玖は行っちゃったの。


この期に及んで、自分のことしか考えられないあたしなんか、
置いて行って当たり前じゃない。
玲奈さんは、命が危ないというのに。


わかってるけど。
だけど。


「ごめ……ごめんなっ……さい……」


「きっと、大丈夫だから」


先生がきつくあたしを抱いて。


「久世はきっと助かる。大丈夫。
お前は俺のような罪は、絶対背負わないから」


だから大丈夫。

幼い子供に言い聞かせるように、先生はゆっくりと、何回も繰り返して言った。