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「――繰り返します。校内に残っている生徒は、すみやかに下校して下さい」
何度目かの校内放送のアナウンスを、あたしはぼんやりと聞いていた。
ドアの横にぺたりと座り、壁に背を預けたまま、窓の向こうを流れる雲を見つめて。
理玖が開け放していったドアは、半分ほど開いていたけれど、
通り過ぎる人は誰も、中にいるあたしに気付かなかった。
救急車のサイレンの後、パトカーも来たようだった。
それからすぐに、下校命令が出されて、生徒たちはざわめきながら学校を後にした。今はもう、生徒はあたし以外いないんじゃないかと思う。
明るい昼下がりに、人気のないしんと静まり返った校舎。
いつもなら至るところで人の声がするのに。
まるで知らない場所に迷いこんだみたいだ。
本当に、知らない場所ならいいのに。
誰もいない、誰も知らない場所に行って、みんなに忘れ去られたい。
あたしなんて、どこにも存在しなかったように。
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「――繰り返します。校内に残っている生徒は、すみやかに下校して下さい」
何度目かの校内放送のアナウンスを、あたしはぼんやりと聞いていた。
ドアの横にぺたりと座り、壁に背を預けたまま、窓の向こうを流れる雲を見つめて。
理玖が開け放していったドアは、半分ほど開いていたけれど、
通り過ぎる人は誰も、中にいるあたしに気付かなかった。
救急車のサイレンの後、パトカーも来たようだった。
それからすぐに、下校命令が出されて、生徒たちはざわめきながら学校を後にした。今はもう、生徒はあたし以外いないんじゃないかと思う。
明るい昼下がりに、人気のないしんと静まり返った校舎。
いつもなら至るところで人の声がするのに。
まるで知らない場所に迷いこんだみたいだ。
本当に、知らない場所ならいいのに。
誰もいない、誰も知らない場所に行って、みんなに忘れ去られたい。
あたしなんて、どこにも存在しなかったように。



