月下の逢瀬

ドアを閉めて、乱れた息を整える。
玲奈さんがいなくなった時から足が震えていて、
それにもう耐え切れずに、座り込んだ。


「どうしたんだ、真緒」


戸惑った顔の理玖があたしを見下ろしていた。
はあ、と息をついて、あたしは理玖をまっすぐに見つめた。


「あのね、あたし……妊娠したの」


「え……?」


「理玖の赤ちゃん、お腹にいるの」


緊張した。
理玖はどう受け取るだろう。
体が強張って、理玖から目を逸らしたいのに、動けずにいた。


長く感じた一瞬、その後。


理玖があたしを抱きしめた。
キツく、息もできないくらい。


「理玖……?」


「…………妊娠、したのか」


小さく呟くような声。
それに頷いて答えた。

理玖は今どんな表情を浮かべてるの?
何を考えてるの?


あたしたちは高校生で、新しい命を喜べる状況じゃないのはわかってる。

だけど。


と、理玖の体がばっと離れた。
あたしの両肩を掴むようにして、


「もしかして、それ玲奈に言ったのか!?」


と語気を荒げて言った。