月下の逢瀬

行くまいか、と悩んだ。
それでも躊躇いながらコンビニの駐車場まで行くと、既に先生の車が停まっていた。

助手席のドアの前で、立ち止まる。

何て言えばいいの?
答えは見つからないままで、逃げ出したくなる。


「まだ制服のままじゃないか。とにかく、早く乗りな。寒いだろ」


中からドアを開けた先生が、あたしを見て呆れたように言った。

先生の顔を見ないまま、のそりと乗り込んだ。


「椎名、どうしたんだ? 言ってみな?」


「か、風邪気味でキツかったから……ちょっと気持ちが不安定になった、だけ」


心配かけてごめん、と頭を下げた。


「嘘言うな。ちょっとこっち向いて。
って、お前体が冷えきってるじゃないか」


腕を掴んだ先生が、驚いたように言った。


「具合悪いってのに、あったかいカッコしてろ! とりあえず、これ羽織れ」


ばさりと服を被せられた。
大きなジャケットから、先生の香りがして。

温かい。
けど、あたしはこの温もりに甘えられない。


「いらないっ。優しくしないでいいっ」


先生にそれを押し付けるようにして返した。


「椎名!」