月下の逢瀬

これは罰なのかな。

人のものを欲しがったあたしへの罰?
夜の帳にそっと触れ合うだけ、そう思っていたのに、それ以上求めようとした罰?


あたしはそんなに罪を犯していたの?


涙が止まらない。
抱きしめて欲しい腕は、あたしの手の届かないところにしかない。


「……っく。ひっ、う……」


こんなところで、声を殺して。
自分で自分を抱きしめるしかない。

衝動のまま飛び出したから、靴すら履いてなくて、泥まみれになった足は氷のように冷えていた。

それすら悲しくて。


あたしはしばらく動けずにいた。



と、ポケットに入れていたケータイが震えた。

まだ制服のままだったんだっけ、と虚ろながら、ポケットから取り出した。


ディスプレイには、『片桐先生』の名前。


「もしもし……せんせ……?」


縋るように、通話ボタンを押した。