月下の逢瀬

病院には行かなかった。

代わりに、ドラッグストアで妊娠検査薬を買い、家に帰った。



そして。
不安に押し潰されそうになっていたあたしに、
容赦なく『陽性』の事実が突き付けられた。



あたしのお腹には今、理玖の子がいる。



暗い部屋。
ベッドに寝転んで目を閉じる。
お腹に手をあてても、何もわからない。
ここで、命が成長している実感なんてない。

けれど確かに、そこに存在しているんだ。


怖い。
あたしは、どうすればいいの。


「怖いよ、理玖」


あたし一人で受け止めるには、大きすぎる事実。


知らず、涙が頬を伝っていた。


理玖に会いたい。
会って、このことを知らせたい。

名前を呼んで、抱きしめてもらえば、きっとこの体の震えは止まるのに。



「理玖……」


ふらりと、窓を越えていた。