月下の逢瀬

静かになった保健室。
遠くで、何かの部活動の声が聞こえる。

あたしはふらつく体を何とか起こして、ベッドから降りた。

壁に掛けられた、夕日に染まったカレンダーに駆け寄る。


体が震える。
冷や汗が背中を流れた。


『あなた、今生理中じゃない?』


佐藤先生の声が蘇る。




「生理……きてない」




理玖と別れてから、一度も。

混乱する頭で、最後にきた日を思い返す。


あれは、いつだった?


「別れる、二週間前……?」


そう、間違いない。
そしてそれ以来、一度もきてない。


あれから二ヶ月経っている。

もしかして。


もしかして。


がくがくと足が震えて、あたしはその場にへたりこんだ。



「妊娠、してる?」


理玖の、赤ちゃんを?


呆然と見つめた先、赤く染まった床には、あたしの影が長く延びていた。