月下の逢瀬

「あ、いえ。違い、ます……」


「そうなの? ならいいけど。でも、そういう下着は具合が悪い時は避けなさい。血行が悪くなっ……」


そんな生徒が本当に多いのか、佐藤先生が熱心に話し出した時。


「失礼していいですか? 佐藤先生」


ドアをノックする音と共に、片桐先生の声がした。


「あ、はーい。どうぞ!
椎名さん、片桐先生があなたを運んでくれたのよ。お礼言いなさいね」


妙に甲高い声で返事をした佐藤先生は、あたしに機嫌よく言った。


「お、椎名は目が覚めたみたいだな。よかった」


「ついさっき気がつきましたの。風邪ですわね、きっと。私、これからタクシーを手配してきますわ」


普段よりも随分丁寧な口調。
佐藤先生はどうやら片桐先生がお気に入りのようだった。


「椎名、具合はどうだ? タクシーで帰るのなら、俺が送ろうか」


優しい声で聞く先生。


「あ、その……」


「あらあ、片桐先生お優しいわ。椎名さん、せっかくだからそうなさいな。タクシーよりも、安心ですもの」


あたしが返事をするより早く、佐藤先生が答えた。