月下の逢瀬

目覚めると、保健室のベッドの上だった。

窓から差し込むオレンジ色の光で、倒れてから随分時間が経ったことを知る。

とっさに起き上がろうとして、くらりと目眩を起こした。
ぽす、と再び枕に頭を預ける。


「あら、気がついた?」


カーテンが揺れて、佐藤先生が現れた。
ぽっちゃりして血色のいい顔は、今は眉間にシワを刻んでいた。


「貧血で倒れたのよ、椎名さん。あなた、昼休みから具合がよくなかったんですって? 無理しちゃダメよ」


「は、あ。すみません」


「胃腸風邪だと思うけど、念のため病院に行きなさい。
自宅に連絡いれましょう。迎えに来てもらったらいいわ」


「あ、いえ。共働きなので、まだ帰ってないと思います。なので自分で帰れます」


「それならタクシーを呼びましょうか? まだ顔色もよくないし」


心配そうに言う佐藤先生に、


「あの、そんなに顔色よくないですか?」

と聞くと、深く頷かれた。


「悪い。真っ白よ。
あなた、今生理中じゃない? 今、生理が重たい子が増えてるのよね。スタイル気にして矯正下着なんてつけてたら、生理が酷くなることがあるのよ」