月下の逢瀬

「……先生って、口が上手い。いつもそうやって女の人を口説いたりするの?」


先生のストレートな言葉が恥ずかしくて、顔を背けた。


「椎名こそ、茶化すな。俺は今本気で答えたんだけどな。

椎名こそ、そんなことを聞くってことは少しは俺が気になってきた?」


「え……」


「気にしてないと、聞かないだろ」


沈黙。

あたしは窓に映る自分を見ていた。
その顔はうろたえていて、先生の言葉に動揺しているのがわかる。


気にしてるのかって……、してるよ。


だから、怖い。
自分の気持ちがどう変化していっているのか、自分でもわからない。


理玖が好きだっていう気持ちは変わらない。
今も大好きだって言える。

だけど、先生と一緒にいる時間を、嫌じゃないとも思ってきている。


このまま、先生と一緒にいる時間を重ねたら、理玖じゃなく先生を想うようになる日が来るのかな?
自ら先生の手をとる、そんな日が。


「変化は怖くないよ」


「え?」


弾かれるように先生を見た。