優しい口づけは、体の全てにそそがれて。

理玖からはいつもの激しさや荒々しさがなくて。

大切な宝物のように柔らかに抱きしめてくれた。


甘く名前を呼ぶ声は限りなく穏やかで。


「理玖、もっと名前呼んで。もっと」


おかしくなってしまったんじゃないかと思うくらいに、理玖を求めた。
全神経を理玖に注いで、あたしの全てで受け入れたくて。
指の動き、体の傾ぎ、吐息、声、全て覚えていたくて。


最後の夜。
寄り添える、終わりの夜だから。



「理玖、大好き」



うわごとのように繰り返す。
何度も、何度も。


返事の代わりに、星のように口づけが降ってきた。