月下の逢瀬

あたしは首を横に振って、抱きしめる理玖の顔を見た。


「いいんだよ。理玖が謝ること、ないから」


ぎこちなく、にこりと笑ってみせる。


「あたし、小さな頃から理玖が好きだった。だから、少しでも気持ちが報われたから、いいの」


「真緒……、俺、お前を」


「いい! 言わなくて、いい」


瞳を見つめる。
あたしの映った、揺れる瞳。


「あたしは、理玖が好き。それだけでいい」


その瞼が、強く、閉じられて。