どれくらい、自分を見失っていたのか。
佐和と眠った夜は、少し肌寒くて。
もう少しで本格的な冬が来るはずだったけれど。
気付けばほころんだ桜の蕾を見上げている俺がいた。
ようやく、周りに目を向けれるようになった俺が見たものは、
崩壊寸前、といったところまで追い詰められていた実家だった。
父は兄貴のいなくなった穴を埋めようと、病院に籠もりきりになっていた。
家には足を向けず、寝泊まりすら病院だった。
残された母は、仏壇の前でただ泣き暮らしていて。
うわ言のように兄貴の名を呼び、まともとは言い難い様子だった。
祐子さんは子どもを連れて、実家に戻ったきり。
せめて、忘れ形見の孫でもそばにいれば、母の気も紛れたのかもしれない。
そして、兄貴と佐和は、佐和の起こした無理心中だと処理されていた。
佐和が母親に残した手紙が発見されたのだ。
それには、『やはり晃平さんが忘れられないので、晃平さんと一緒にいられるところへ行きます。』と書かれていた、と聞いた。
佐和と眠った夜は、少し肌寒くて。
もう少しで本格的な冬が来るはずだったけれど。
気付けばほころんだ桜の蕾を見上げている俺がいた。
ようやく、周りに目を向けれるようになった俺が見たものは、
崩壊寸前、といったところまで追い詰められていた実家だった。
父は兄貴のいなくなった穴を埋めようと、病院に籠もりきりになっていた。
家には足を向けず、寝泊まりすら病院だった。
残された母は、仏壇の前でただ泣き暮らしていて。
うわ言のように兄貴の名を呼び、まともとは言い難い様子だった。
祐子さんは子どもを連れて、実家に戻ったきり。
せめて、忘れ形見の孫でもそばにいれば、母の気も紛れたのかもしれない。
そして、兄貴と佐和は、佐和の起こした無理心中だと処理されていた。
佐和が母親に残した手紙が発見されたのだ。
それには、『やはり晃平さんが忘れられないので、晃平さんと一緒にいられるところへ行きます。』と書かれていた、と聞いた。



