月下の逢瀬

佐和が、兄貴と心中……?


理解できずにいる俺に、父は続けた。


『詳しいことはまだわからん。夜更けに晃平の家から火が出て、焼け跡から二人の遺体が見つかった。
警察の話だと、心中だろう、と』


とりあえず、早く来い。

それを聞く間もなく、俺はケータイを放り出し、ベッドの周りに散った服を拾った。
慌ただしくそれを身につけ、ざっと部屋を見渡す。

綺麗に片付けられた、シンプルな部屋。
ベッドだけがくしゃくしゃに乱れていて。
それはいつもと変わりなく、佐和がいない方が違和感があった。

いや。
シーツの赤いシミがやけに目に付く。

佐和が流した血の痕のように感じてしまうのは、俺が動揺しているせいなのか。


と、さっき放ったケータイのディスプレイが、ちかちかと点滅しているのに気づく。

母の口ぶりからして、何度も俺に電話してきたのだろう。
不在着信を知らせるそれだろう、と手にとり、履歴を見た。


母さん 04:43 15秒 不在
母さん 04:54 15秒 不在
父さん 05:01 15秒 不在
母さん 05:03 15秒 不在
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