月下の逢瀬

グラスが傾いた拍子に、佐和の胸元からシーツまで、ワインのしぶきが飛んだ。

それを慌てて拭こうとする佐和を、無理やり押し倒して、肌を流れる滴を舐めとった。


『や、……ん。晃貴……』


すぐに抵抗しなくなった佐和の体を抱きながら、ほっとした。
俺の失言は大したことなかったのだと、バカだけど安心してしまっていた。

シーツに染み込むワインのシミが二度ととれないように、
俺の放った言葉は佐和の心をどす黒く染めていっていたのに。


けれど、そのときの俺は、体を開いた佐和の、その肢体しか見えていなくて。
繰り返し呼ばれる俺の名前がまるで理性をなくす呪文のようで。


何も気付けずにいた。


そして。


佐和を貪るように求めていた時、ぷつりと意識が飛んだ。