月下の逢瀬

『……二番目って、引き受けるって、何』


『真緒がいいって言うなら、二番目の女にしてやる』


身勝手な言い方。
でも、それに怒りを感じることなく、あたしは問い返していた。


『……あたしが久世(くぜ)さんの次、玲奈さんの次でもいいって言えば、理玖はあたしを彼女にしてくれるわけ?』


『ああ』


『じゃあ、そうして』


考える前に、口にしていた。
理玖は微かに目を見開いた。


『1日で1時間でもいい。理玖があたしのそばにいてくれるなら、何番目でもいい』


『本気で言ってるか?』


『理玖こそ。冗談じゃないんでしょ?』


理玖が小さく頷いた。



何番目でもいい、と言ったのは、本心からの言葉だった。
辛いことになると、分からなかった訳じゃない。

でも、好きでもない男のことで泣く虚しさよりも、
好きな理玖のために泣く辛さの方が、幸せだろうと感じたのだ。